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「かかりつけ医」、「ホームドクター」と いえば、多くの人は内科の開業医を思い出すのではないでしょうか。実際に小さいころからかかっている「近所の先生」がいる人も多いでしょう。しかし、あなたが女性ならば、それと同じレベルでぜひ婦人科のかかりつけ医をもってほしいのです。
昔は、婦人科といえば妊娠出産や生殖器の病気を扱う診療科と考えられてきました。しかし、女性のライフスタイルが大きく変化した今、婦人科医は女性の生涯にわたる健康を見守り、またアドバイザー、カウンセラーとしても大きな役割を果たすようになっているのです。
たとえば現代の10代は性活動も昔と比べればかなり活発ですが、その割に避妊や性 感染症に対する知識は乏しいのが現状です。ムチャなダイエットから無月経を起こすケースも少なくありません。初経が訪れてから安定するまでには月経不順などの生理的な問題もありますが、現代の10代が抱える問題はそれにとどまらないのです。一方では、女性も仕事をつことが当たり前になり、それに伴って高齢出産、出産回数の減少が起きています。これは、単に出産に伴う危険を大きくするだけではなく、女性の病気にも影響しています。たとえば子宮内膜症の増加や乳がん、子宮体がんの増加にもこうしたライフスタイルが少なからず影響しているとみられています。また、妊娠の可能性があれば、治療に使う薬やレントゲンを撮影していいのかどうかなどの専門的な判断も必要になります。こうしたときに、的確なアドバイスが可能なのも、婦人科医なのです。
そして訪れる更年期。卵巣の働きが低下し女性ホルモンが欠乏するこの時期、成熟期から老年期に入るために女性は男性とは比べ物にならないほど大きな山を超えなければなりません。また、長生きするようになった今は、更年期以降の人生も長くなっています。女性ホルモンを失った体は、この後骨粗しょう症や高脂血症、高血圧、心筋梗塞などさまざまな病気の危険にさらされるようになります。
こうした女性のライフサイクルのすべてにかかわるのが女性ホルモンであり、男性とは違う 経過をたどるのです。また、女性の病気には女性ならではの心の問題、悩みを伴うことも多いものです。更年期障害などは、心の持ち方ひとつでもかなり症状は異なるといわれます。
性生活上の悩みや問題なども、婦人科ならば十分に理解してくれるはずです。とくに閉経後や子宮がんなどで手術を受けたあとには、性交渉に関する悩みや性交時の痛み、失禁などの問題が出てくることがあります。以前に比べると一般の医師もこうした問題に対する認識が高まりつつありますが、やはりその点でも婦人科医は専門家です。
こうしたことを考えたとき、女性には女性の体と心をよく知ったかかりつけの医師が必要になることは、当然ともいえるのです。ライフステージのそれぞれの場面で、問題に行き
当たったとき、いつでもアドバイスを受けられ る婦人科医がいる、妊娠や出産も含めて自分の体の状態をずっと見ていてくれる婦人科医がいるということは、何とも心強いことではありませんか。

 では、実際には各年代ごとに何に注意をし、どのような検査を受ければいいのでしょうか。
10代で性交渉をもつ可能性が出てくれば、避妊法や性感染症に関する知識が必要になります。こんなときでも、アドバイスをしてくれるのが婦人科医です。今は、低用量
ピルが 認可されていますが、ただピルをもらって服 用に伴う注意事項を聞くだけではなく、こうした性感染症のリスクもきちんと聞いておきたいものです。
性交渉をもつようになれば、必ず性感染症にかかる可能性があるので、検診は受けたいもの。激しい月経痛や不正出血などがあれば、もちろん婦人科を受診します。月経は女性の健康状態を知る大事なバロメーターでもあります。その影に、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣のう腫などが潜んでいることもあるのです。また、子宮頸がんの検診も20代から始めて早すぎるということはありません。
30代になったら、乳がん検診やできれば骨量の検査も受けましょう。この時期から、乳がんになる人がボツボツと現れてきます。また、骨量を測定することで、将来骨粗しょう症になりやすいかどうか、またそれを未然に防ぐために今から何をする必要があるのかといったことがわかります。さらに40代になったら、子宮体がんの検診を加えましょう。子宮体がんは、子宮内部にできるがんで、最近日本でも増加しているがんです。
45歳を過ぎたら、更年期に備える年齢と考えるべきです。個人差はありますが、月経が不順になったり、出血量が多い少ないなどの変化が出てきたら性腺刺激ホルモンやエストロゲンの量を測定します。必要であれば、ホルモン補充療法などで更年期障害をコントロールすることもできる時代です。
誕生日や結婚記念日など日にちを決めて、婦人科健診は年に一度は受けましょう。また人生の節目健診という意味で、結婚前の健診を受けることも大切です。性感染症に感染していないかどうか、肝炎ウイルスに感染していないか、あるいは子宮内膜症や筋腫がない
かどうかなどをきちんと調べておく必要があります。それが、不妊症の予防や治療、ある いは母体から赤ちゃんへの感染を防ぐことにもつながります。また、結婚前の男女がお互いに感染症などの検査を受けておくことは、エチケットでもあるのです。

 婦人科が敬遠される、とくに若い女性に婦人科受診をためらう人が多いのは、内診の問題が大きいのではないでしょうか。
内診は、腟に指を入れて子宮や卵巣などの異常をみる検査です。婦人科医にとっては非常に有用な検査で、内診と超音波検査をすれば、婦人科の病気はほとんどわかるといっていいほどです。これをためらうのは、患者さんにとっては極めて損な話なのです。
内診のためには、下着を脱いで診察台に上がらなくてはなりません。それが嫌という人は少なくありません。しかし、実際にはバスタオルなどを渡して下半身が露出しないように配慮してくれるところが増えています。内診台と医師の間はカーテンで仕切ることができます。
とくに、婦人科でも女性のライフサイクルを見守るパートナーとしての医師を目指している人は、男女を問わずこうした問題に配慮を払おうとする人が多いようです。婦人科医にも妊娠出産を得意とする人、がんなど婦人科の病気に比重を置いているところなど、実際にはさまざまなタイプがあります。かかりつけ医として婦人科医を求める場合は、女性の生涯にわたる健康を見守り、心の問題も含めて対処してくれること、そして女性の羞恥心も含めて理解してくれる医師を探すことが理想的です。相性という問題もありますから、自分で実際に会って会話をかわし、そのうえで信頼できると感じた医師を選ぶのがいいでしょう。
しかし、診察や検査を受ける場合は、患者側にもエチケットがあります。まず、「内診があるかもしれないから」というので、ビデなどで腟を洗い流すことは避けましょう。おりものなどが洗い流されてしまうので、うまく診断ができなくなります。会社の帰りにそのまま直行してもらっていいのです。また、月経中でも、何か気になることがあれば受診しましょう。それで、検査ができないということはありません。
また、内診のときはリラックスして力を抜いてください。緊張すると体までこわばり、内診がやりにくくなってしまうのです。こんなときは深呼吸でもして、肩の力を抜きましょう。検査はたいてい2〜3分で終わります。
それから、できれば着脱の楽な衣服のほうが患者さんも楽です。ズボンよりはフレアスカートのほうが、下着を脱ぐだけですむので気分的にもリラックスできるはずです。腕などもまくりやすい服のほうが、採血や血圧測定などのときに楽です。

 医師は、基本的に患者さんの話をよく聞き、十分な説明をしたいと考えています。しかし、残念ながら日本では患者さんの数が多く、一人ひとりの患者さんに十分な時間を割けないこともあります。ですから、病院に行く前には、あらかじめ患者さんのほうも聞きたいことや伝えたいことを整理しておくと、効率的です。
いつからどんな症状が出て、どういう経過をたどってきたのか。今は、どんな症状があり、何が辛いのか、受診する前にどういう薬を使い効果
はどうだったかといった基本的な問題はもちろん、他に何の病気があり、どんな薬を服用しているかを、あらかじめメモしておきましょう。月経に関する情報、たとえば初経年齢や月経周期、月経痛の有無や程度、最終月経の始まった日などは必ず整理しておいてください。婦人科では重大な情報です。またこのとき、聞きたいことや相談したいことがあれば、それもメモしておきます。そうすれば、短い時間でも効率的に聞きたいことを聞けるはずです。
また、薬が出たら、それがどういう薬でどんな作用があるのかを聞いておくことも大切です。万が一副作用などがあった場合、すぐに医師に相談したり、あるいは軽い胃痛や腹痛という程度ならば、これが副作用なのだと納得することもできるからです。患者側からの質問内容にもよりますが、とくに病気に関して質問しても十分に答えてくれない、薬も知る必要がないといった対応をされた場合は
、病院や医師を変えることを考えてもいいと思います。今は、インフォームド・コンセン ト(説明と同意)が重視される時代です。患者さんのほうもただ医師の言うままに動くのではなく、積極的に自分の意見も伝え、双方の協力と理解のもとに病気や健康管理を行って
いくようになっています。
そうでなければ、パートナーシップは成立 しません。この点も医師選びのポイントと言っていいかもしれません。 
 病気はなんでも、早期発見・早期治療が重要です。とくにこれが大きなポイントになるのが、がんです。
乳がんを克服したある女優さんが、こう語っていたことがあります。「私は家族がいないので、だれにも相談できませんでした。しかし、あの時家族がいれば、そんな小さなしこり、少し様子を見ていれば消えるわよとか、慰めてくれたかもしれません。そうすれば、きっと私は病院に行くのを一日延ばしにしていたと思います。一人だったからこそ、仕事をキャンセルしてもすぐに検査を受けに行ったのです」
もちろん、これは人さまざまでしょうが、小さな異常をなるべく楽観的にとらえたいという思いは、だれにもあるのではないでしょうか。たとえばおなかが膨れてきたのは太ったせい、咳が出るのは風邪のせい、胃のあたりが痛むのはストレスによる胃炎のせいといった具合です。しかし、実際にはお腹がでてきたのは子宮筋腫や卵巣がんのせいであることもあります。風邪と思っていたら、実は特殊なタイプの卵巣腫瘍で胸水が溜まっていた、みぞおちが痛むのは卵巣腫瘍がねじれかけていたせいだったということもあります。月経が停止したので閉経だと思っていたら、実は妊娠だった、あるいは卵巣腫瘍だったということもあります。
自己診断はとにかく禁物です。小さな異常の中に、どんな病気が隠れていても不思議ではないのです。こんなときでも、気軽に足を運べる婦人科医がいれば、安心のためにと検査を受けることもできるはずです。大げさに考えないで、「ちょっと相談に行って来るね」、そう言って受診できる婦人科医をもつことは、早期発見・早期治療という意味でも大切なことなのです。
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