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ドクター相談室Q&A
Q&A 卵巣
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Q 不妊に悩み受診したところ、卵巣のう腫と診断されました。どんな病気ですか、また手術が必要なのですか。
A 卵巣のう腫は、卵巣にできる腫瘍のなかでも、もっとも多くみられるものです。のう腫(腫瘍)のなかには液状のものなどが詰まっていますが、内容物によっていろいろな種類があります(ワンポイント知識を参照ください)。

卵巣のう腫は小さなうちは、ほとんど自覚症状がありません。そのため自分ではわからず、妊娠時の診察や子宮がんの検診などで発見されることが少なくありません。のう腫が大きくなってくると、お腹がふくれた感じがしたり、さわるとしこりがわかることもあります。

多くは良性のものですが、まれに悪性のものもあるため、まずその判断をする必要があります。医師から手術の話がなかったのなら、おそらく良性だと思われますが、一度確認しておくほうがいいでしょう。腫瘍が良性か悪性かについては、超音波やMRI、CTスキャン、腫瘍マーカーなどを使い、事前にかなり正確に判断できます(ただし最終的な判断は、腫瘍を切除したうえで病理検査をおこなう必要があります)。

小さな腫瘍で、かつ良性だと判断できるものは、しばらく経過をみるのが普通です。ときには自然に消えてしまうものもあります。

良性のものでも、腫瘍の大きさや種類によっては手術が必要となることもあります。手術が必要かどうかは、主治医とよく相談してください。将来妊娠を望む人や、不妊に悩んでいる人の場合には、あらかじめその旨を医師に伝えておきましょう。

ワンポイント知識
卵巣のう腫は、内容物によって大きく3つに分けられます。

1. 漿液性(しょうえきせい)のう胞
中身はサラッとした水様の液で、のう腫の大きさはウズラの卵大から1kg以上の大きさになることもあります。
2. ムチン性のう胞
中身は粘り気のある粘液で、大きさは親指大から、まれに10kgを超える巨大なものまであります。
3. 皮様(ひよう)のう腫
皮脂がバターのように詰まっていて、毛髪や骨などが混じったのう腫です。卵子が発育過程で奇形化したもので、20歳代の若い女性に多くみられます。大きさはうずらの卵大から子どもの頭ぐらいまであります。
  (安達知子『婦人科に行く前に読む本』KKベストセラーズより)
 
Q 病院の検査で、4cmほどの卵巣のう腫がみつかりました。悪性かどうかはわかりませんが、痛みがあります。くわしい検査や手術をすべきでしょうか。
A 卵巣のう腫は、ひとつの目安として大きさが6cm以上になると摘出手術の対象となります。ただその場合でも、良性か悪性かをふくめて、くわしい検査が必要です。

月経周期による変化があるかどうか、炎症があるかどうかの検査、さらに腫瘍マーカーなどの血液検査を受けてください。また、のう腫の種類(水がたまったものか、硬い充実性のものか)についてもきいておくことが必要です。

痛みについては、卵巣のう腫が4〜5cm程度の大きさなら通常は起こりません。ただし、茎捻転(けいねんてん)といって、なんらかの原因で卵巣のう腫が根元からねじれることがあり、その場合には痛みをともないます。

急に茎捻転が起こると、下腹部の激痛や吐き気などの症状が起こります。少しずつねじれを起こした場合には、軽い痛みがつづくこともあります。いずれの場合でも、ねじれたままにしておくと卵巣への血液の流れが止まってしまうため、早急な手術が必要となります。
Q 卵巣のう腫の手術とは、どういうものですか。私は未婚で、すでに別の手術痕が下腹部にあるので、これ以上キズを残したくありません。
A 卵巣のう腫の手術は、良性か悪性か、充実性(腫瘍が固体であるもの)か非充実性(内容が液性のもの)か、癒着があるかないか、患者の年齢がいくつかなどの条件を医師が考慮したうえで、手術方法が決められます。

良性のものであれば、多くは腹腔鏡下で手術することができます。この手術は、下腹部に小さな穴を3つほど開け、メスや鉗子のついた腹腔鏡を入れて、腫瘍の様子を観察しながらおこなうものです。この方法だと手術痕は小さく、目立ちません。入院も数日で済みます。

開腹手術の場合も、以前の手術のキズ痕と同じ箇所を切開してもらうようにすれば、キズについても問題はないでしょう。ただし、以前の手術による癒着がないかどうかが問題となります。こうした点について、主治医と十分に話し合ってください。

手術でどの程度摘出するかは、のう腫の大きさやできた場所、良性なのか悪性なのか、妊娠を望む若い世代か閉経後の人かなど、さまざまな条件を考慮して決められます。良性のものなら、のう腫部分だけの摘出や、片方の卵巣だけの摘出で済むこともあります。悪性の場合には、転移なども考慮し、卵巣だけでなく、卵管、子宮、リンパ節などの摘出が必要となることもあります。

この点については、患者さんごとのケース・バイ・ケースなので、手術前に医師とよく話し合ってください。
 
Q 卵巣のう腫の手術を受け、片方の卵巣は摘出しました。もうひとつの卵巣は一部が残っていますが、妊娠できるでしょうか。
A 卵巣は2つ(左右にひとつずつ)あります。摘出手術でひとつをとってしまっても、もう片方が残っていれば、女性ホルモンの分泌には支障はなく、月経もきますし、もちろん妊娠することができます。

あなたの場合には、残る片方の卵巣も一部だけとのことですが、もし組織が残っていてホルモン分泌があるのなら、一般的には妊娠は可能と思われます。主治医に、血液中のホルモン値を測定してもらったうえで、意見を聞いてください。
 
Q 卵巣を2つとも摘出した場合、どのような症状が出ますか。セックスすることはできますか。
A 卵巣を2つとも摘出した場合には、排卵がなくなるので妊娠はできなくなります。卵巣からの女性ホルモンの分泌もなくなるので、一般的には更年期障害と同じような症状が出やすくなります。症状の種類や程度は人によって違いますが、ほてりと発汗(ホットフラッシュ)、動悸、イライラ、頭痛、憂うつ感などの、いわゆる不定愁訴が典型的なものです。

しかし、すべての人に更年期障害のような症状がみられるわけではありません。不定愁訴の症状があまりみられない人もいます。

症状が重い場合には、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などで改善することができます。ホルモン補充療法というのは、女性ホルモンを補って体調を改善する方法で、更年期の女性を対象におこなわれているポピュラーな治療法です。

ただし、乳がんや子宮がんなどのホルモン依存性のがんになったことのある人や、その疑いのある人、肝機能障害のある人などは、ホルモン補充療法はできません。その場合にも、漢方薬に替えるなどの方法がありますので、医師と十分に話し合ってください。

セックスに関しては、卵巣を摘出してもすることができます。ただ女性ホルモンの低下によって腟の萎縮などの症状が起こることもあり、性交時に痛みがともなう人もいます。その場合にも、ホルモン補充療法や潤滑ゼリーの使用などの解消法がありますので、恥ずかしがらずに医師に相談してください。
 
Q 若い頃から卵巣のう腫(骨や脂肪のもの)があり、定期的に検査を受けて様子をみています。30歳を超え、そろそろ結婚・出産を考えていますが、その前に手術をしたほうがいいでしょうか。
A 骨や脂肪などの卵巣のう腫は、卵巣皮様のう腫、奇形腫、あるいは類皮のう胞腫などとも呼ばれるもので、若い女性には比較的多くみられます。たいていは良性のものです。

ねじれたり、破裂したり、悪性腫瘍に変化することは心配ですが、30歳代前半で大きさも5cm程度までなら、その可能性は低いといえます。7cm以上になると茎捻転(ねじれ)をおこしやすく、その結果破裂することも考慮しなければなりません。参考までにいいますと、40歳代になってくると、大きなものは悪性腫瘍に変化する可能性も高まるので、注意する必要があります。

結婚や出産が間近のことなら、急いで手術する必要はないでしょう。一方、のう腫が次第に大きくなっていて、不安があるようなときには、腹腔鏡下手術などを受けてもいいと思います。手術後すぐに妊娠しても大丈夫です。

ただし、この腫瘍はもともと卵子に由来するものなので、手術で除去しても約20%程度の人は再発する可能性があることも知っておいてください。
 
Q 卵巣のう腫は、ほかの人からうつりますか。
A 卵巣のう腫は、ウイルスなどによる感染症ではないので、ほかの人からうつることはありません。

排卵のときに卵胞から卵子が飛び出すとき、卵巣の上皮が破れ、傷つきます。すぐに修復されますが、排卵のたびに周期的に卵巣の上皮が傷つくため、卵巣のう腫をはじめとした腫瘍ができやすいのです。

また卵巣のなかには、卵子のもとになるたくさんの卵細胞があり、これが分裂し、成熟していきます。その発育過程で奇形腫を発生することもあります。

卵巣の腫瘍の多くは、このようにしてできるものであって、ほかの人からうつる病気ではありません。



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